<花の行方>
由利菜・サイダルは痣や痩せ過ぎが治るまでかくまわれた。
そして、ヒクリの極秘調査のため一人任務に就いていたという事にして、堂々とまた戻ってきた。
父上の配慮のたまもの。
天下の治安維持軍特別高等警察課総合部隊長、が聞いて呆れる。
但し既に部隊長の座は次の者が就いているので、戻らない。
近衛部隊の総指揮官と、王の補佐(警察・警備方面)を勤める事になった。
これで、慌ただしかった父上も少しは楽になるだろうか。
「近衛隊総指揮と王補佐なんて、ほとんど仕事ないじゃない」
王の部屋で、二人でいると必ず私はお茶とお菓子を持って現れてやった。他に近衛兵もいたが、彼女はもう偉そうに私に話をしない。敬語を使って、変にへりくだる。――そういうところが気にに食わない。
「あなたって、ムカツク女の典型ね」
とか言っても、向かってこない。やんわり笑って、それで済まそうとする。
私に愛人だとばれたからってなんなのよ。私の気持ちを聞きにも来ないし、それにずっと私をちゃんと見ない。
――私をいつまで子供扱いすれば気が済むの?母や私を裏切った父上もあなたひどいものだわ。だけど、許そう、そう思ったのよ。そうでなければ何も始まらないの。あなたを嫌ったところで、何も解決ではないのよ。
父上とあなたに裏切られ続けるのは嫌だわ。だけど、私がそれを言えた立場じゃないの。当事者である母上と父上の間のことだもの。
私はただ、みんなに笑っていてもらいたいだけ。
父上も、母上も、あなたも、私も。
「おはようございます」
ユナ・コンドウ。父上の部屋にまた邪魔に行く途中、声を掛けられた。私はこの人も気に入らない。まだ二十三で、本来なら近衛隊でも二軍に位置するはずなのに。父上と由利菜・サイダルを取り持つような動きばかりしてきた。これからも変わらないだろう。
「おはよう」
声を返してまた歩き出すと、彼はついてきた。
「父上に用事?」
この先は王の私室がある。ユナは、
「ええ。いいお知らせです」
そう言って軽快な歩調で横を歩いた。
父上の部屋についたユナは、父上に軽く耳打ちした。その後私は部屋から出された。仕事の話。秘密な事が多すぎる。私はいつも部外者で。でも由利菜・サイダルはそうじゃない。どうして?もう部隊長じゃないのに。私の方が賢いのに。
――わかっている。彼女を信頼している。そして私は信頼されていない。それだけのこと。
私が同大人に成長しようと、きっと父上も母上も、私はただ生意気なだけで、正しい意見を言っても耳を貸す事はなく。弟が王位を継いで、私は適当に嫁がされて、それで、終わりよ。
要らないんだわ。生意気で、ヒトの図星をついているだけの子どもなんて。もっとしとやかで、父上や母上の言いなりな子どもが理想なんだわ。どれだけ奇麗に咲いた花でも…。
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